【完】キミは夢想花*
体育館に行けば、慌ただしく先生が動いている。
「なんか...やばそうだね」
ドクンッ──
先生の緊迫した空気を悟り、生徒は不安そうに顔を強ばらせた。
それから数分して、校長がステージの上に立った。
ドクンッ...ドクンッ──
妙に胸騒ぎがする。
「......えーっ...今日、臨時の集会を開いた理由は......」
全校生徒の視線は校長に集まる。
「学校付近で、事件が起きたためです」
事件......?
体育館にいる生徒は、校長の次の言葉を待った。
「......連続......殺人事件です」
「えっ?連続殺人事件?」
「嘘でしょ?」
「どこで?」
「大丈夫なの?」
〝連続殺人事件〟と聞いて、一気に体育館の中は騒がしくなった。
「静かに!!話はまだ終わっていない!!」
騒がしくなった生徒を先生が静かにさせている。
「大変言いづらいのだが、その事件に......我が校の生徒が、巻き込まれました」
校長の言った言葉は更に現実味がなく、でも頭に重く響く。
「そのため、今日から複数人での登下校及び部活動の休止を行います」
体育館には誰かが啜り泣く声が静かに響いた。
するとそれを聞いた私達生徒は急に不安感に襲われる。
そんな不安感を誤魔化し、少しでも冷静になれるように友達と会話をして精神を保つ。
私もその中の1人で、隣にいる亜子に助けを求めようと視線を移した。