【完】キミは夢想花*
なんでそんな先生が殺されるの!?
憎まれるような人なら百歩譲って理解できる。
でも、あさちゃんは人気者で誰よりも生徒のことを考えてくれる先生。
あさちゃんは何か悪いことでもしたの?
「なんで...あさちゃんなの......」
亜子が言葉を漏らした。
その言葉が全てを物語っていた。
どうしてこうも汚い世界に生き続けなくちゃならないんだろう。
綺麗なモノだけを見て生きたい。
こんな世界は心底嫌だ。
こんな世界で生きたくない。
「.........死にたい......」
「蓮、何言ってるの...!?」
心の中で思わず呟いた言葉は、口にしていた。
「こんな汚い世界を生きてる意味が分からない」
私に本当の家族はいなくて。
椿はどこかに消えてしまって。
近所では連続殺人事件があって。
あさちゃんが次の被害者で。
この世界は私が少しでも大切に感じたものを奪っていく。
「もう...なにも要らない。家族も友人も大切な人もなにもかも...全部要らない。必要ない」
私になにも与えないで。
あとが辛くなるだけだから。
その時、教室に乾いた音が響いた──
その瞬間私の左頬がジンジンと痛み出した。
...私叩かれたの?