【完】キミは夢想花*
「蓮」
お父さんに名前を呼ばれ顔を上げた。
「気にしなくていいんだよ。蓮は家族なんだから。家族に気を使う理由なんて1つもない」
そう言われて私の目からは涙が溢れ出す。
前は〝家族〟と言われても素直に聞けなくて。
でも、今は違う。
「......ありがとうっ......」
何度言っても言い足りないこの言葉。
けれど私は何度も何度もこの言葉を家族に伝えた。
「お姉ちゃん泣き虫さんだー!」
私の懐に陽が笑顔で飛び付いて来た。
きっと陽はずっとこうしたかったのだろう。
お姉ちゃんに甘えて。
お姉ちゃんと遊んで。
でも私が変な反抗をするから。
ごめんね。
寂しい思いをさせて。
私は陽のことをぎゅぅっと強く抱き締めた。
「さっ!みんなでご飯食べましょ!!」
お母さんは手をパチンと合わせ言った。
その言葉に私達は笑顔で〝うん!〟と頷く。