【完】キミは夢想花*


***



「準備は大丈夫か?」



「大丈夫だよ」



「それじゃあ、行こうか」



お父さんの言葉に私は首を縦にする。



この間、私はお父さんとお母さんに言ったのだ。



『お墓参りに...行きたい』



1度も行ったことのない、生みの親のお墓。

現実をしっかり見るためにも、行かないわけにはいかない。



私がそう言ったことは特に以外ではなかったらしく、お父さんとお母さんは考えることもなく〝分かった〟と言ってくれた。

そして、今日。

家族4人全員で、お墓参りに行くことになった。



家からは車で2時間。



最初は会話が飛び交っていた車内だが、墓地に近づくにつれ会話は減っていく。



「ここだよ」



車から降りて少し歩いたところに、お墓はあった。



「......ここが...」



もう1人の、お母さんとお父さんのお墓。

< 53 / 202 >

この作品をシェア

pagetop