【完】キミは夢想花*


どうして?と思うことは山ほどあって。

その度に私は何も知らないという現実を見る。



「蓮」



1人考え込んでいれば、お母さんが優しい声で私の名前を呼ぶ。



「ご、ごめん」



「蓮。聞きたいことがあったら、なんでも聞いて。お母さん達、蓮の知りたいことは知っている限り全て話すわ」



お母さんには私がなにを思っているのかお見通しのようだ。



たぶん、きっと。

今聞かなければ、この話題を自分から聞くことも、教えられることも、ない気がした。



でも...私は......



「ありがとう。でも、大丈夫」



聞かないことを選択した──



ただ単に聞く勇気がなかったわけじゃない。

心の準備が出来ていなかったわけじゃない。

覚悟がなかったわけじゃない。



ただ、私はこのまま知らないままでも良いと思っただけ。

私の心の中に想像したお父さんとお母さん。

それだけで十分。



真実を知る時、その時に知れたらいい。

なにも急ぐ必要は無いんだ。

そう思ったのだ。

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