【完】キミは夢想花*
「そう」
お母さんは私にいつもの優しい笑顔を見せた。
それから私はお墓に手を合わせ、お父さんとお母さんに話し掛けた──
〝私を産んでくれてありがとう〟
そう話し掛けたと同時に、私の瞳から涙が零れ落ちた。
出来ることなら、今も生きていて欲しかった。
私に笑顔を見せて欲しかった。
私の手をぎゅっと握って欲しかった。
私の記憶に残っていて欲しかった...
この先永遠に来ることのない夢を見る。
お父さんとお母さんに囲まれて、手をぎゅっと握って。
笑い合って。
抱き締めあって。
そんな、幸せな日常を。
そして...そんなことを夢見たと同時に、今まで育ててくれたお父さん、お母さんのことを思い出す。
私に寂しさを感じさせないほど、沢山の愛情を注いでくれたこと。
自分の子どものように、愛してくれて。