【完】キミは夢想花*
***
帰る支度をして、玄関へ向かえば...
玄関はこれから下校する生徒で賑やかだ。
もう少し教室で時間を潰せばよかったな...
「あのさ、蓮」
「ん?なに??」
なんだろう?と思い亜子を見れば、亜子の表情はやけに真剣なものだった。
「もしも......」
もしも?
「......ごめん、なんでもないや。今の忘れて!」
そう言った亜子の表情はすぐにいつもの笑顔に戻っていて。
「あ、うん。分かった」
私は、亜子がなにを言いかけたのか。
話の続きを尋ねる勇気がなく、ただ頷くことしか出来なかった。
「よし!じゃあ、帰りにアイス食べて帰ろ!」
いつも通り明るい亜子を見て、たいした話じゃなかったんだ。そう思った。