【完】キミは夢想花*
私の視界には、紛れもなく椿の姿。
でも、それだけじゃない。
椿のことを物陰から眺めている...亜子の姿もあったのだ。
椿と亜子は知り合いだったってこと?
でも、知り合いなら影からこそっと見ていることなんてないはず。
じゃあ、もしかしたら椿じゃなくて、別な何かを見ているとか?
そしてたまたまその方向に椿がいただけとか?
色々な可能性を考えるが、どれもピンとこない。
それでも必死に頭の中で考える。
その時。
椿が立ち上がった...
そしてパーカーのフードをより深く被り直す。
いつも、この時間から彼は仕事に向かう。
なんの仕事かは知らない。
聞いたこともない。
だって、私達の間にいらない情報だから。