【完】キミは夢想花*
痛みに狼狽え視界がぼんやりする。
それでもかろうじで意識はある。
この場において、それはいい事なのか定かでない。
顔をあげれば何が起こっているのか状況を掴むことが出来るのかもしれない。
でも、今の私には痛みでそんな力はない。
ただ、抱えられた状態で男の足元を見ることだけ。
足元にはガラスや食器の破片。
観葉植物が横たわり。
本やクッション、様々な物が散乱している。
「──...様。外に人間が居ました」
男はボスらしき人に私達のことを告げ、乱暴に床に置いた。
「こちらの人間はどうなさいましょうか」
亜子が私に逃げてと言った意味がようやく分かった気がした。
ここは、危険だ。
私が勝手なことをしなければ、亜子も捕まることはなかったんだ。
身勝手な行動をしたせいで、聞く耳を持たなかったせいで。