【完】キミは夢想花*
椿に会いたいと何度も願った。
そのために雨が降ればいいのにと願った。
でも、今私の目の前にいる彼は...あの時私が会いたいと願った人なのだろうか。
「......なに、してる...の?」
言葉が喉に突っかかって、スムーズに声が出ない。
なにしてるの?なんて聞くのは、残酷だ。
見たら分かる。嫌でも分かる。
それでも、この言葉以外見当たらない。
「.........」
案の定彼は何も答えず、パーカーの汚れている部分を隠す。
それが全ての答え。
答えられないのが答え。
黙秘は時に、言葉以上の重さを伝える時がある。
その時、
「...蓮......」
亜子が目を覚ました──