【完】キミは夢想花*
「......蓮は、アイツと...知り合いなの...?」
亜子は顔を歪ませながら私に聞いた。
「貴様らいい加減黙れ!人間の分際で!!「お前が黙れ」」
だが、亜子の言葉に答える暇もなく体格のいい男が声を荒らげたが、間髪入れずに彼がその男を制した。
「お前達は下がれ」
そして、数名の下僕らしき人物に命令を下す。
ここでの権力は彼が1番らしく、そんな彼は今まで私が見てきた人物とはかけ離れている。
家の中には、私と亜子、彼。
そして...拘束されている親子。
「ねぇ、蓮」
静けさに包まれた部屋の中で、静かに亜子が言葉を発した。
その声は妙に落ち着いていて、でも、目には殺気が漂っている。
「......私、蓮に恨まれてもいい。ただね、私...コイツだけは許せない」
亜子はその場にずっと立ち上がった。
その手にはガラスの破片が握られている。
「私は...アンタに復讐する為だけに生きてきたんだから!!!!!!」
そう言うと、彼女は勢いよくガラスの破片を彼に突き刺した──
目の前で人が刺されるのは。
一瞬の出来事で、スローモーションのように見えた。