【完】キミは夢想花*
「あ、亜子!!なにしてるの!?」
「コイツは...コイツはっ!!!私の親を殺した...私から家族を奪ったんだよ!!!!!」
目の前には号泣している彼女の姿と、顔を歪めお腹を押さえている彼の姿。
彼の足元には血がボトボトと落ちる。
このままだと死んでしまう。
でも、私の足は鉛のように重たく、動かない。
亜子の言った言葉が脳内を駆け巡る。
私は呆然とその光景を眺めることしか出来ない。
「あのね、蓮。蓮がコイツとどんな関係だったのか知らないけど......教えてあげる」
「......なに、を?」
亜子はそう言って彼にもう1度近づいた。
そして、フードに手をかけた。
「コイツの、正体「やめろっっっ!!」」
彼が亜子を止めようとしたが、それはもう遅かった。
パーカーのフードは脱げ、いつも見えていなかった部分が見えた──
「......」
自分の目を疑った。
それはあまりにも、理解し難いこと。
「コイツはね、人間じゃない。化け物なんだよ」
「.........っ」
冗談でしょ?
ハロウィン先取りしすぎちゃったとかじゃなくて?
コスプレとかじゃなくて?
彼は今までフードで隠れていた......猫の耳、を手で隠した。