【完】キミは夢想花*
「......なに、が?」
人を殺してごめん?
嘘ついてごめん?
こんなヤツでごめん?
なんのごめんなの?
彼の言いたいことが分からない。
何を考えているのか分からない。
でもね。
あの時、聞き返さなければよかった。そう思った。
聞かなければ、きっとこれ以上の悪夢は見なった。
いや、悪夢よりも酷い現実を知らなくて済んだのだ。
彼は一瞬目を逸らし、再び私の瞳を捉える。
彼の瞳は迷いなどなく、真っ直ぐ。
「キミの、両親を殺して...ごめんなさい」
確かにそう言った。
キミって.........私...?
なにを言ってるのか、訳が分からない。
でも、彼の視線は私の瞳を捉えて離さない。