【完】キミは夢想花*
「ボクは、蓮の両親を殺した...化け物」
その言葉は、私を一気に地獄に突き落とす。
私は亜子とは違って、両親の記憶なんてなにもない。
あるのは今の家族との思い出だけ。
でも、なにも知らなかった昔と今とでは違う。
生みの親が亡くなったことを知っている。
天涯孤独の私を家族にしてくれた、今の家族。
ねぇ......神様...
どうしてこんなにも残酷な現実を突きつけるの?
神様は差別とかするの?
贔屓とかするの?
私のこと嫌いなの?
せっかく、気持ちの切り替えが出来たというのに。
ねぇ、どうしてあの時、私に優しくしたの。
ねぇ、どうしてあの時、私に笑顔を向けたの。
ねぇ、どうしてあの時、私にネックレスをくれたの。
ねぇ、どうしてあの時、私に幸せになってと約束したの。
「.........ねぇ、どうして...あの時、私に話し掛けたの」
両親を殺しておいて。
生き残した私に話し掛けたの。
あの時、あの瞬間。
彼が話し掛けなければ、私はこの事実を知ることはなかった。
私が...彼を好きになる事はなかった。