【完】キミは夢想花*
「......」
彼はその問に初めて口を閉ざした。
もう嫌だ。
彼に恋をして。
頭の中は彼で一杯で。
彼からの言葉に一喜一憂することも無かった。
「私......なにか、悪さしたのかな......」
神様に恨まれること、なにかしたかな。
もう無理。
もう嫌だ。
気づくと、瞳からは涙が溢れ出ていた。
「蓮」
パシンッ──
彼はそんな私の涙を拭こうと手を差し伸べたが、私はその手を振り払った。
「触らないで」
この期に及んで、優しくされたことに浮かれてしまいそうになる。
そんな自分が酷く醜くて...嫌で嫌で堪らなかった。