【完】キミは夢想花*
彼の言葉に胸がきゅぅっと締め付けられ。
彼と会う時間にワクワクして。
彼に今日あった出来事を報告して。
彼と一緒に笑い合って。
彼の誕生日には、今度は私がプレゼントして。
そして、いつか...
彼にこの想いを伝えられたらなって。
そんな彼との幸せな未来を夢見ていた。
でも、それは所詮ただの夢だった。
夢ばかり見ていた日々。
こんな悪夢...夢なら覚めてほしい。
そして幸せな夢を見続けたい。
けれどそれは出来ない。
私の夢はここで終わり。
「もう......私の前に、姿を現さないで」
必死に現実を見る。
ここで、彼に抱いた気持ちも全て、切り捨てる。
私は拘束されている親子を解放し、亜子と一緒に家を出た。
もしかしたら追われて、殺されるかもしれない。
そう思ったけれど、家の外は雨は止み異常なまでに静かで、遠くから虫の音が聞こえてくるだけ。