【完】キミは夢想花*
「まさかと思ったよ。そんなわけない。現実離れしすぎている。現に今も...」
信じきれない。
その言葉は、両親のためにも言ったらいけない。
両親のためにも、受け止めなくてはいけないから。
だから、胸の中に押し込めた。
「それでも、私は現実を見なくちゃいけない」
自分で言って、この言葉は自分に重くのしかかる。
初めてあった時、彼に死ぬことを持ち掛けられ生きてみようと思った。
彼に出会って、雨の日が確かに楽しみになった。
退屈で、憂鬱な日々に色がついた。
そんな彼に、恋をしていた。
楽しかった現実も。
嬉しかった現実も。
輝いた現実も。
確かにそこにはあった。
でも、今となってそれは私自身を苦しめるものでしかない。
それでも、無かったことに出来ない自分がいる。
だから...
「一瞬だけ、夢を見たんだよ。神様が私に少しだけ、幸せな夢を与えたんだ」