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一呼吸ほど置いて、結斗はエリカを見た。
幼い少女に、優しく語り掛ける。
「エリカちゃん、どうしてこのお人形は閉まっちゃったの?」
「だって、エリカにはこの子がいるから」
新しくもらったその人形を掲げ、エリカは言った。
「新しい子をもらったら、古い子はもういらなくなっちゃうの?」
「違うよ。エリカ、そのお人形大好きよ。
だけどその子、お怪我沢山しちゃったの。
だから、もうお怪我しないように閉まってあげたの」
「そっか。エリカちゃんは優しいんだね」
だけどね、この子は、お怪我をしても
エリカちゃんの側を離れたくないって言っているよ。
エリカちゃんを守りたいって」
「お兄ちゃん、その子とお話が出来るの?」
「うん。だから自分で話す事の出来ないこの子の代わりに
僕が伝えてあげてるんだよ」
大きな瞳をまんまるにして
エリカは結斗を見つめていた。
結斗は「彼女」をエリカに渡すと
にこりと笑って言った。
「怪我をしても、汚れても、僕が治してあげるし
綺麗にしてあげるから。
この子もエリカちゃんの側にいさせてあげて?
この二人のお人形さんが、君の事を守ってくれるからね」
「うんっ!!」
手渡された人形をぎゅっと抱きしめ
エリカは元気に答えてた。
無事に、結斗の仕事は終わったのだ。