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メモリ・真相
追憶
――…
「おはよ」
翌朝、目覚めた結斗はいつもと変わらずに、微笑んで挨拶をした。
知らない方が良かったのか。
知った方が良かったのか。
解らない…。
「ユイ、腕の包帯…換えなくちゃ」
「ん。ありがと」
「今日も仕事頑張らなくちゃね。アリア」
「でも無茶しないで。
怪我…いつまでたっても治らないわ」
「はは。そうだね」
いつもの…結斗だった。
「今日は人形を創るつもりでいたから
ちょうどいい休息だよ」
「そう、なら良かった…」
朝食を済ませ
結斗は人形創りに没頭した。
真剣な彼の横顔を
アリアはじっと見つめる。
ユイ…
何を考えているの…?
「アリア?」
結斗の声にはっとする。
「ボーっとして…大丈夫…?」
「ぁ…ごめんなさい。平気よ」
余計に意識してしまっているのか
結斗の顔さえまともに見れなかった。
そんなアリアの心境を察したのか
結斗が頭をぽん、っと叩いて言った。
「アリア、今日は休んで。
…色々…混乱させちゃってごめんね」
言い残して、部屋の扉を閉めてしまった。
その場に立ち尽くすアリア。
「なんで謝るのよユイ…」
扉に向かって呟いた。
小さく、小さく…。