Android


――…


僕は今も、リアの事が好きなんだろう。

彼女に似せた「アンドロイド」に

彼女の面影を感じながら


僕は

彼女を救えなかった事を

死なせてしまった事を

償う為に生きようと思った。




この能力で

救う事の出来る人々を

救いたいと思った。

それが…

せめてもの罪滅ぼしだと思ったんだ。
























――…



あれから数日が経った。

ジンが再び仕掛けてくる様子もなく

結斗は通常通り仕事をしていた。

アリアは片時も離れずに結斗の側にいた。

ずっと、一緒にいた…。

音沙汰がなくなったといえど

彼が「アリア」を狙っている事に間違いない。



「これから一度家に戻るけど
30分後には次の依頼主が来るからね」


「えぇ」


家路へと向かう車の中で

結斗は頭の中のスケジュールを整理していた。

そんな時、ふと窓の外に目をやると

無残に捨てられた人形を見つけた。


「車止めて」


運転手にそう促すと

結斗は車から降りてその人形に近づく。

アリアはその後ろを追って来た。


「ユイ?」


「…可哀想に…誰がこんな…」


その人形を抱き上げて結斗が言った。


「僕が持ち帰って綺麗にしてあげよう。
さ、帰ろうか……」


後ろを振り返ったとき

そこにはもうアリアの姿はなかった。


「…アリア…?」


急いで車に近寄って助手席から中を覗く。

運転手は「何か」に眠らされたかのように

うな垂れていた。


「な…っ?!」


何が起きたのか

結斗にはすぐ理解ができた。




















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