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――…


儀式が終わった後

結斗は集まった一族達に

挨拶をして周らなければならなかった。


「アリア、行くよ」


「はい」


式の最中、母の隣に座っていたアリアを呼びに行く。

先日言っていた様に、美しいドレスを着ていた。


「ユイ!」


「あぁ、久しぶりだね、美緒さん」


最初に結斗に歩み寄ってきたのは

彼のいとこの美緒だった。

目鼻立ちはきちんと整っていて

すらりと伸びた細い脚がドレスのスリットから覗く。

なんとも大人らしい雰囲気を漂わせていた。



一方のアリアは

桜色の生地に真っ赤な薔薇の生花を飾り

裾は膝丈で若さと清楚な雰囲気を

印象づけさせる格好だった。


「その子、ユイが創ったアンドロイド?」


「うん。キレイでしょ?」


「初めまして。アリア・バレンタインです」


にこりと笑ってアリアは軽い会釈をした。


「本当に…人形…なのよね…?」


「そうだけど?」


美緒はアリアの姿をじっと見つめた。

誰が見ても人間と見間違えてしまうほど

繊細な造り。

最も特徴ある尖った耳のおかげで

彼女がアンドロイドだという事は一瞬で解るのだが。

それを除けば、彼女は完璧に人間と区別が付かない。

それほどまでの人形を、彼が造ったというのか。

考えただけで、美緒は彼の能力に驚くしかなかった。

「彼こそがマスターを継ぐべき存在」だと。


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