とあるレンジャーの休日
突然の珍客
01
待合いに居た残りの患者を診た後、止血の済んだ彼に飲み薬を渡して、また消毒に通うよう伝える。
医務室の診療時間として設定しているのは、13時から15時までの二時間だけだ。
時計を見ると、ちょうど14時を回ったところだった。
軽い怪我は日常茶飯事、身体が資本の自衛官たちは、よほどのことがない限り医務室を訪れない。
――ただし、この男を除いては。
他に患者がいなくなったのを見計らったかのように、塚本は立ち上がった。
「紫乃ちゃん、ちょっと」
「なに」
「こっち来て。折り入って相談があるんだ」
胡散臭い笑顔。
だが塚本はこういった表情が大変よく似合う。
人好きする優しい顔立ちに、心の奥を見透かすような瞳。
防衛大出身の彼は、この歳にして既に3左。
出世コースを最短に近い速さで駆け上がっている頭脳派だ。