とあるレンジャーの休日
彼女はされるがままジッとして、歩の整った顔を見つめる。
しばらくして、ふと気付き、彼女は目を丸くした。
(また、寝てる――?)
おそるおそる身を乗り出して様子を窺うと、彼はまたもや規則正しい寝息を立て、眠りに落ちていた。
やはり昨夜一晩眠ったくらいでは、寝不足は解消しなかったのだろう。
(いっぱい頭使ってるしね)
紫乃は起こすのも忍びなく、頬にやった手を慎重に下ろすと、そのまま彼の傍に寄り添って身体を丸めた。
もう朝晩はだいぶ冷える。
歩の肩に毛布をかけてやり、自分もその端っこに入った。
「おやすみ」
紫乃は小さな声で囁いて、目をつむる。
そこはとても暖かく、こそばゆさに似た不思議な心地よさを感じた。