とあるレンジャーの休日



   *





 夢うつつに肌寒さを感じ、歩は身じろぎをする。
 それはまだ、外が薄暗い朝のこと。

 ちょうど脇の下から横腹にかけ、温かいものに包まれていることに気付いた。

 薄目を開けて、天井と壁を確認する。

(ここは、紫乃の家――)

 二晩目にして、見慣れた和室に安心し、再び目をつむる。
 だが直後にハッとして目を全開にし、歩は"それ"を確認した。

「んっ……!」

 思わず大声を上げそうになり、咄嗟にグッと堪える。
 紫乃が彼の胴体に腕を回し、完全に抱きついた状態になっていた。

(何してんだよ、紫乃ーっ!)

 毛布がはだけて寒いのか、彼女は細い肩をふるりと揺らして、さらに頬をすり寄せてくる。
 歩は慌てて掛けていた毛布を彼女の方に寄せ、その身体を完全に覆ってやった。

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