とあるレンジャーの休日
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夢うつつに肌寒さを感じ、歩は身じろぎをする。
それはまだ、外が薄暗い朝のこと。
ちょうど脇の下から横腹にかけ、温かいものに包まれていることに気付いた。
薄目を開けて、天井と壁を確認する。
(ここは、紫乃の家――)
二晩目にして、見慣れた和室に安心し、再び目をつむる。
だが直後にハッとして目を全開にし、歩は"それ"を確認した。
「んっ……!」
思わず大声を上げそうになり、咄嗟にグッと堪える。
紫乃が彼の胴体に腕を回し、完全に抱きついた状態になっていた。
(何してんだよ、紫乃ーっ!)
毛布がはだけて寒いのか、彼女は細い肩をふるりと揺らして、さらに頬をすり寄せてくる。
歩は慌てて掛けていた毛布を彼女の方に寄せ、その身体を完全に覆ってやった。