とあるレンジャーの休日

「さあ? っていうか、俺じゃないからなっ」

「……何が?」

「先に、抱きついたの――」

 そう言われ、彼女はやっと、自分たちがピタリと寄り添って寝ていることに気付いた。

「ああ。ごめんね。寒かったから、つい」

「いや……別に、いいんだけど」

 紫乃が顔を上げ、二人は至近距離で目を見合わせる。
 彼女はニコリと笑い、歩は全身を緊張させて、早々に目を逸らした。

「紫乃、あのさ」

「ん?」

「俺も一応、その……」

 紫乃は首を傾げながら、枕元に手を伸ばす。
 歩が大きく息を吸い、次の言葉を発しようとしたところで、彼女が叫んだ。

「わあっ! もうこんな時間!?」

 紫乃が手に持っていたのは、携帯電話である。
 画面に表示された時刻を確認し、彼女は慌てて飛び起きた。

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