とあるレンジャーの休日
なかなか出ない答え
11
ダイニングテーブルに頬杖をつきながら、歩は朝食の支度をする紫乃の後ろ姿を、ジッと見つめる。
それに気付いた紫乃は訝しげな顔をして、「ヒマなら新聞取ってきてくれる?」と頼んだ。
歩は素直に頷いて立ち上がり、玄関へ向かう。
サンダルで外に出ると、ついに落ちてきた雨がポツポツ滲んで、石畳の色を次々と濃くしていった。
歩は慌てて外へ駆け出し、小さなポストからはみ出していた新聞を掴んで、庇の下へ戻る。
(そういえば……)
小さい頃、朝、ポストに新聞を取りに行くのは兄の役目だった。
歩はその後をついて行き、兄が新聞を手に取ったところでジャンプして、それを横取りするのを楽しんでいた。
「我ながらうぜぇな、俺」
新聞に限らず、彼は常に兄に纏わりつきながら、何かしらちょっかいを出していたのだ。
当の兄は、仕方ないなぁという顔をして、大抵は歩の好きにさせていた。
そこで歩は、とあることに気付き、一人愕然とする。
「なんか……紫乃と兄貴って、似てる?」