とあるレンジャーの休日
気性が安定して穏やかなところ。
歩を子ども扱いするところ。
しっかりしていて頼りがいがあり、最後まで面倒みてくれるところも――
(うわっ……どこまでブラコンなんだよ、俺!)
そう思って紫乃を見てみると、たしかに二人は、佇まいや雰囲気がとてもよく似ていた。
もちろん、彼女は女性だし、見た目は全く違う。
兄は見るからに男らしいガッチリとした体格をしていて、紫乃は平均的な身長に、細身の身体だ。
髪の長さも肩甲骨のあたりまであり、今みたいに下ろしていると、女らしさもグッと増して見える。
だが――
「歩? どうしたの、そんなところにつっ立って」
紫乃がそう声をかけてきた。
居間の入り口で、新聞を手に彼女を見つめていた歩は、ハッとして首を横に振る。
「なんでもない!」
挙動不審な彼の様子を見て、紫乃は首を傾げた。
「変なの。いいから、おいで。ごはん出来たよ」
「うん……」
そう返事をしておとなしく席に着いた歩を、居間のソファに座っていた清二郎と吾郎は、ポカンとしながら見つめていた。