とあるレンジャーの休日
紫乃はそれに従う前に、ベッドで横になっている青年の様子を確認した。
輸液を入れただけだが、顔色は少し良くなってきている。
しばらくまともに寝ていなかったと言うだけあって、今はぐっすり熟睡していた。
「相談とか言って、また面倒事押し付けるつもりじゃないだろうな」
「紫乃ちゃん……俺をなんだと思ってるの?」
――そのまんまだ。
厄介な問題ばかり持ち込む男。
それも基本、こちらに丸投げで。
うろんな目つきを向けていたら、事務作業を片付け終えた薫子が、塚本を見上げて言った。
「いくら二人きりだからって、紫乃先生に変なことしちゃダメですよぉ~」
「薫子ちゃんまで、そんなこと言う?」
塚本は心底不本意だという顔をしながら、再び紫乃を別室に促した。
紫乃は軽くため息を吐き、渋々、彼の後をついて行った。