とあるレンジャーの休日
(本当に……何かあったのかな?)
昼食前の出来事もそうだし、今朝も様子がおかしかった気がする。
紫乃はやはり一緒に連れてくるべきだったかと思い、その場で足を止めた。
だが、また家に戻って彼をどうこうするというのは、さすがにどうだろう。
一人悩み、紫乃は再び歩き出す。
あまり構い過ぎるのも良くない気がした。
――彼にとっても、自分にとっても。
階段を数段上って屋根の下に入り、傘を閉じる。
厚生センターの中へ入ると、医務室前の長椅子には、二日前に腕を切って止血した男性が、一人で座っていた。
指示に従い、消毒に来たのだろう。
ドアを開けると、中はすでに明るく、薫子の朗らかな声が響いた。
「先生、お疲れさまでーす」
紫乃は頷き、その男性に中へ入るよう促して、身支度を整えた。
男性の傷を診てみると、傷がパックリ開いており、紫乃は思いきり顔をしかめる。