とあるレンジャーの休日
「なんでこんなことに?」
彼は申し訳なさそうな顔で、頭を掻いた。
「利き腕なんで、つい」
「普通に訓練に参加してたってこと?」
せめて三日、安静にしてくれていたら、すぐに塞がったのに。
「縫うと、痕がハッキリ残っちゃうよ。このまま塞がればまだ綺麗に……」
紫乃が説明したら、彼はケロッとした様子で、「じゃあ縫ってください」と言った。
「え?」
「別に痕とか気にしないんで。このくらい勲章ですよ、勲章」
苦虫を噛み潰したような顔をする紫乃に、その彼は「縫っちゃえば、もっと早く治るんでしょ?」と言い募る。
紫乃は大きなため息を吐きつつ、「わかった」と頷いた。
(全く……なにが勲章だ)