とあるレンジャーの休日
さすがに早い気がする。
歩の言い分が本当なら、彼はまだ一人では眠れないのだ。
「そう。紫乃ちゃんのお墨付きがないと、帰せないしなぁ。俺に出来るのは期限の引き延ばしくらいで」
「ふん。リミットは?」
紫乃が訊ねると、塚本は目を丸くして言った。
「今の言い方、吾郎先生そっくり」
「あんたねぇ……」
「ごめんごめん。えっと……二週間が限度かな」
歩の体調不良を隠して誤魔化せる期限は、あと二週間――
塚本は紫乃の表情を観察するようにジッと見つめながら、言った。
「これは本人にも秘密にして欲しいんだけど。もし彼が、完全に回復したら、月末には正式な内示が出る予定だ。異動先での任務と訓練は、今よりずっと厳しい。彼のためにも、しっかり見極めてあげてくれる?」
それを聞き、紫乃は唾をゴクリと飲み込んだ。
"今よりもずっと厳しい"