とあるレンジャーの休日
塚本はハッキリ言わないが、今、彼が所属している空挺団よりも厳しいところと言ったら、考えられるのは陸自の公認特殊部隊しかない。
「間に合わなかったら、どうなるの?」
気になって訊ねたら、塚本は苦笑を浮かべ、視線を逸らして呟いた。
「今回の不調をどう見られるかによるけど……恐らく空挺団からも外されて、どこかの普通科連隊へ転属になるだろうね」
15時を過ぎ、まだ止まない雨の中を、紫乃は再び傘を差して歩いた。
歩に期限の話をしても、きっとプレッシャーにしかならない。
本人にはまだ、今の部隊に戻りたいという意志があるからだ。
(二週間……)
本気で元に戻そうと思うなら、今のストレスの原因を突き止めて、それを解消するよう働きかけなくてはならない。
そうでないと、間に合わなくなる可能性があった。