とあるレンジャーの休日
告白
13
家に帰り、紫乃はまず、気になっていた歩の様子を確認しに行く。
雨のせいか、彼は予想した通り、道場にいた。
紫乃が顔を覗かせると、中にいた吾郎が最初に気付き、続いて歩も彼女に気が付いた。
もう少ししたら小学校低学年のクラスが始まる時間で、二人はその準備をしているようだ。
「紫乃!」
歩が嬉しそうな顔をして、駆け寄ってくる。
「バイト終わった? 夕飯の支度は?」
「これからだよ」
紫乃の目には、歩の背後で左右に力いっぱい振られている尻尾が見えた。
その向こうでは、吾郎が顔をしかめてこちらを見つめている。
「顔見に来ただけだから」
そう言って紫乃が背を向けると、歩に腕を素早く掴まれた。
「待って。俺も一緒に行く」
「なんで」
「そっち手伝いたいから」