とあるレンジャーの休日

 さすがの紫乃も驚きを隠せず、眉根を寄せた。

「何のために?」

「彼の将来と、俺の面子(メンツ)を保つため」

 紫乃は思いきり嫌そうな顔をすると、「あんたの面子なんか、どうでもいい」と吐き棄てた。

 塚本は子どもみたいなふくれっ面をしながら、「酷いなぁ、紫乃ちゃん」と呟く。

「……で? 彼は何者なの」

 さっさと本題に入って欲しいと思いながら訊ねたら、塚本はニッコリ笑いつつ、こう答えた。

「空飛ぶ陸上自衛官」

「は? ふざけてんの?」

「いや、真面目に言ってる。彼ね、空挺(くうてい)レンジャーなんだよ」

 紫乃はポカンと口を開けると、無意識に「ああ」と声を漏らした。

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