とあるレンジャーの休日

「なに?」

「朝も同じこと言ったけど……距離、近くない?」

 少し動けば、肩がぶつかってしまうくらいの位置に、彼は立っている。

「ダメなの?」

「ダメっていうか、邪魔」

 彼女の言葉に、歩は悲しそうな顔をして、下を向いた。

「紫乃って、結構冷たいよな」

「普通でしょ。歩が甘えたがりなんだよ」

――正直、かわいいと思わなくもない。
 でもこれ以上エスカレートすると、色々な支障が出そうだ。
 さすがの紫乃も、家族の前で異性とイチャつく神経は、持ち合わせていない。

「本当は触りたいのを我慢してるんだけど」

「とんでもないことを、サラッと言わないでくれる?」

 歩の言葉に、紫乃は驚きすぎて、声が裏返ってしまった。
 すると、また彼の顔が近づいてきて、紫乃は慌てて後ろに下がる。

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