とあるレンジャーの休日

「なにあれ?」

「怖ぇ……」

 歩が大きく息を吐き、脱力してその場に座り込むのを、紫乃は怪訝な顔をしたまま見つめていた。






 風呂から上がり、自分の部屋で寝る前の手入れや支度を済ませた紫乃は、ふうと息を吐いて立ち上がる。

 いつにない緊張感を持ったまま廊下に出て、隣の部屋のドアを小さくノックした。
 しばらくして、返事もなく扉が開き、中から歩が顔を出す。

「紫乃」

 やはり嬉しそうな顔で笑う彼に、紫乃は複雑な気持ちで苦笑いを見せた。

「ちょっと話があるんだけど」

 そう切り出すと、歩は彼女を部屋の中に招き入れて言った。

「俺も」

 部屋の中はまだ電気がついていて明るい。

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