とあるレンジャーの休日

 紫乃はそのまま、敷かれた布団を前にして畳の上に正座した。
 それを見た歩も、ちょうど布団を挟んで反対側に、あぐらをかいて座る。

 向かい合わせになった二人は、互いに真剣な顔をして、どちらが先に話を切り出すかを窺った。

「歩の話って、何?」

 紫乃が先を譲ると、歩は「うん」と素直に頷き、緊張をほぐすように深呼吸をする。

「俺さ……」

 言いかけて、彼がゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
 紫乃もつられて、全身を酷く緊張させる。

(なんだろう――?)

 でも歩は、その張り詰めた空気に我慢できず、「だあぁぁっ」と声を上げると、そのまま畳の上に寝転がってしまった。

「ちょっと待って。こんなのマジ、中坊んとき以来なんだけどっ……!」

「は?」

 紫乃も緊張を解かれて息を吐き、膝を崩してペタンと座り込む。

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