とあるレンジャーの休日

「中学のときって何? なんの話なの」

「――え。まさか紫乃、俺の話、全然想像ついてない、とか?」

 顔色を変える歩に、紫乃は眉根を寄せて、小さく頷いた。

「大事な話かなとは、思ったけど」

 歩は「はあ~」とため息を吐き、布団にうつ伏せてしまう。
 それを見た紫乃は、自分が悪いのだろうかと、しばし考え込んだ。

 伏せた状態のまま、歩は首だけ捻って紫乃を見上げる。
 紫乃が「ん?」と言葉を促すと、彼はやはり真面目な顔をして、こう言った。

「俺、紫乃のこと……好き、みたいなんだけど」

 言われた紫乃は、内心驚きつつも冷静に言葉を返す。

「みたいって、何」

 歩は、今度は下を向き、目を逸らしてボソボソと呟いた。

「みたいじゃなくて、好きだよ」

 あちらを向いてしまった彼の頬と耳が、真っ赤に染まっている。
 それに気付いた紫乃は、彼に告白されたのだと、ようやく理解した。

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