とあるレンジャーの休日

 紫乃が振り返ると、彼はニコッと笑い、再び起き上がった。
 寝転んでは起きてが頻繁で、ちっとも落ち着かない。
 それがまた彼の弾むような心持ちを表しているようで、少しおかしかった。

 歩はそっと顔を近づけてきて、額同士をコツンと突き合わせる。

「好きだよ、紫乃。付き合い始めてからのことは、俺もちゃんと考えるから」

――まずは、回復が先。
 その後どうするかは、また一緒に考える。

「ん……分かった」

 紫乃は素直に頷いて、そっと目を閉じた。
 そうしたら、唇に熱を持った柔らかいものが触れて、彼女はハッとする。
 すぐ目の前には、歩のいたずらっぽい微笑み。
 彼は「約束な」と囁き、彼女の頬をくすぐるように優しく撫でた。

 何が起きたのか遅れて理解した紫乃は、顔を真っ赤に染めて、彼を睨む。

「もしかして今、キスした?」

「だって付き合うの待ってたら、いつになるか分かんないじゃん」

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