とあるレンジャーの休日

「紫乃……」

「やっぱり眠れなかった? こっち、おいで」

 そう囁き、紫乃は自室に彼を招き入れる。
 そうして隣の部屋へ行き、紫乃は彼の布団を抱えて二つの部屋を往復した。

 自分のベッドのすぐ脇に、歩の布団を敷き直してやる。

 彼曰く、紫乃の気配さえあれば眠れるようだし、そろそろ朝晩も冷えてきているから、寝床は別々の方がいいと思った。
――そもそも、同じ布団で眠っていたのが、おかしかったのだが。

「ここで寝ていいの?」

「いいよ。今さらでしょ」

 紫乃は、再びベッドに潜り込みながら、一応念押しする。

「でも、寝てる間に何かするのは、ナシだからね」

「わかってる」

 歩はモゾモゾ布団に潜り込むと、ベッドにいる紫乃を見上げてホッとした顔になった。

「電気、消すよ」

「うん」

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