とあるレンジャーの休日
紫乃は手元に置いてあるリモコンのスイッチを押して、部屋の照明を落とした。
しばらくして暗闇に目が慣れてきた頃、歩がゆったりした口調でボソボソと呟く。
「この部屋……紫乃の匂いがする」
(匂い?)
気になって紫乃が顔を出すと、歩は気持ちよさそうに目をつむりながら言った。
「これ、安心する……かも」
そうして、ストンと一瞬で眠りに落ちたのが、見て分かった。
(わっ、寝た!)
紫乃はそれをまじまじと見ながら、考える。
(私って、そんなに匂うの?)
複雑な気分だったが、これはこれで大きなヒントを得たのかもしれなかった。
匂いさえあればいいのなら、この部屋でなら、歩も一人で眠れるのではないだろうか。
もしそうだとして、その後どうするのかという問題はあるけれど。