とあるレンジャーの休日
(とりあえず実験は、明日だな)
明日は土曜日だ。
診療は半日だけで、午後は丸々空き時間になる。
いつもならバスを使い、少しだけ足を伸ばして、郊外のショッピングモールへ出かけるのだが。
(ちょうどいいかも)
事故当時のことや、お兄さんの話を、もう少しちゃんと知っておきたかった。
歩自身が、不調の原因を掴めているのかどうかも含め、もう一歩踏み込んだ話をする時間を作ろう――
紫乃は、そう決意して、歩の顔を見つめた。
彼は眠れなかったなんて嘘みたいに、安らかな寝息を立て、熟睡している。
紫乃はそれを見て無意識に微笑むと、自分も再びベッドの中に潜り込んだ。