とあるレンジャーの休日
松本診療所
15(土曜日)
秋の天気は変わりやすい。
今朝、紫乃が枕元のカーテンを開けたら昨日のどんよりした雲はどこかへ消え去り、澄んだ青空が広がっていた。
カーテンを引く音と光で目を覚ました歩は、一瞬ここがどこだか分からず混乱した様子を見せる。
だが、ベッドの上にいる紫乃の顔を見て、すぐ笑顔に変わった。
「おはよう、紫乃」
「おはよ。ほら、今日いい天気だよ。これなら走りに行けるね」
歩は布団の上で大きく伸びをしながら、頷く。
「また運動公園まで行って来ようかな」
それを聞き、紫乃は忘れないうちにと思い、先に約束を取り付けることにした。
「土曜日は診療が午前中で終わりだから、午後空いてるんだ。良かったらまた一緒に出かけない?」
「ほんと? 行くっ!」
彼は嬉しそうに答えると、まるで子どものように軽々と飛び上がった。