とあるレンジャーの休日



 土曜は清二郎が完全に休みを取り、診療に出るのは紫乃だけだ。

 支度をして診療所に向かうと、平日の昼間にここで働いている看護師の一人が出勤してきていた。
 看護師は薫子を除いて三人おり、それぞれ交替で土曜日の勤務を引き受けてくれている。

 今日の担当は、ここで15年働いているベテランの山城だ。
 彼女は家が近所でもあり、紫乃が小さな頃から知っていて、まるで親戚のような存在だった。

「おはよう、山城さん」

「あ、紫乃ちゃん先生。患者さん、もう入れちゃっていい?」

 山城はかなりせっかちである。
 紫乃は苦笑しながら頷き、受付に置かれた診察券の番号を順番に確認して、棚からカルテを自分で引っ張り出した。
 彼女はせっかちな割に面倒くさがりなので、事務方の仕事には積極的に手を出さない。

 平日は事務員がいるからいいが、土曜日は紫乃と看護師の二人だけという体制だ。
 山城が担当の時は、必然的に紫乃が診察と事務作業を兼任することになった。

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