とあるレンジャーの休日

「嘘でしょ……」

 2士というのは、一般曹候補生もしくは自衛官候補生試験を受けて採用された自衛官が、一番最初に与えられる最下位階級のことだ。

 幹部階級には、通常、防衛大を出るか幹部候補生試験を通過した者がなる。
 下士官から昇級していく者もいるが、3尉に上がる年齢は三十代後半を過ぎているのが普通だった。

「彼は最短最速で幹部に昇進した、超がつくほど有能な自衛官ってこと」

 それがどれほど凄いことか――バイトでありながらも、ある程度内部事情に詳しい紫乃は、感心のため息を漏らした。

 自衛隊内で昇進しようと思ったら、各段階に設けられた試験を順次クリアしていかなくてはならない。
 一般業種との違いは、その試験がペーパーのみではないことである。

「身体能力が高くて、筆記にも一発で受かる頭があるってこと?」

「どっちも飛び抜けてるよ、彼は。なんで最初から幹部試験を受けなかったのか訊いてみたんだけど……」

 塚本の言葉に、紫乃は顔を上げた。

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