とあるレンジャーの休日

「そうやって紫乃ちゃん先生が甘やかすから、総合病院に行こうとしないんじゃないの?」

「でも、おばあちゃん一人だし……」

「今どき一人暮らしのお年寄りなんか、そこら中にゴロゴロいるよ」

 山城の言うことも、紫乃は理解できた。
 病気や不調で弱っている患者というのは、ただでさえ医師に依存しやすい。
 適切な距離を保ちつつ、信頼も失わずという姿勢が大事だということも――

 紫乃は苦笑いを浮かべて誤魔化すと、窓口に行き会計処理を済ませて、次の患者を呼んだ。






 季節の変わり目は体調を崩す人が多い。
 そして土曜日は平日と違い、普段時間に制約のある会社員や学生などがメインになる。中には、混んでいる小児科を嫌って連れてこられた、小さな子どもなどもいた。

 紫乃は専門が整形なので外科系を得意とするが、土曜日に限っては、ほぼ初診の内科系患者を診ることになる。

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