とあるレンジャーの休日
清二郎が電極パッドを心臓を挟んで2カ所に貼る。
その間、AEDからは無機質な音声ガイドが絶え間なく流れていた。
紫乃は祈るような気持ちでそれに耳を傾ける。
機械は心電図解析を自動で行い、ショック指示を出した。
(完全には止まってない――!)
紫乃はすぐに心臓マッサージを再開し、大声で呼びかける。
「おばあちゃん! お願いだから、戻ってきてっ!」
充電が完了し、清二郎が呟いた。
「離れてろ」
そうして紫乃が手を離した直後、清二郎が通電ボタンを押して電気ショックが流れた。
おばあちゃんの全身が軽く跳ねるように痙攣する。
だが意識は戻らず、呼吸も止まったままだ。
紫乃は、すぐさまマッサージを再開した。
清二郎がAEDの箱から備え付けの人工呼吸用マスクを取り出して、おばあちゃんの口元にセットする。
「紫乃、30回置きだ。しっかりカウントしろ」
「5、6、7、8……」