とあるレンジャーの休日
清二郎も声を上げ、おばあちゃんに呼びかけた。
その間に、サイレンが聞こえてきて、救急車の到着を知らせる。
家の前まで誘導してきた歩と救急隊員が、家の中に駆け込んできた。
「代わります」
隊員の一人が、紫乃にマッサージを代わると申し出る。
紫乃は頷き、きっちり30まで数えてから手を離した。
彼女はすでに汗だくで、息が上がっている。
恐怖と緊張からくる興奮で、身体がブルブルと震えていた。
「紫乃!」
背後から歩に抱きしめられる。
その力強い腕に支えられ、紫乃はなんとか立ち上がった。
震える声で別の救急隊員に状況を説明し、自分が主治医であること、既往症や、普段彼女が飲んでいる薬の内容などを伝えた。
収容先の病院が決まるのと同時に、おばあちゃんは隊員たちによって車の中へ運ばれる。
病院まで付き添おうとする紫乃を、清二郎が横から制止した。
「俺が行く。お前は親戚に連絡を取れ」