とあるレンジャーの休日
「経済的でいいね」
「本当にそう思う? 酒飲めない男とか、嫌じゃない?」
そう訊かれ、紫乃はポカンとした。
「そんなの、気にするようなことじゃないでしょ」
「一緒に飲みに行けないけど」
「代わりに美味しいもの食べたらいいじゃない」
その答えに満足したのか、彼は満面の笑みを見せる。
「良かったぁ。酒好きな人って一緒に飲めないと寂しがるから」
紫乃はふと、彼が昔付き合っていた女性がお酒好きだったりしたのかなと考え、無意識に顔をしかめた。
歩はそれを見て少し焦った様子を見せる。
「一般的な話だからなっ、男女関係なく」
「何、焦ってるの」
「だって……」
紫乃は気を取り直して、美味しいものといえばなんだろうかと考えた。
「歩は、何が食べたい?」
「俺、今なら何食べても美味しく感じる自信がある」