とあるレンジャーの休日

 すぐ横でまた、彼のお腹がグーと鳴るのが聞こえた。
 紫乃は声を出して笑い、歩と一緒に、そこそこ美味しくて量を出す定食屋に向かって歩いた。






 そこは、古くて狭いが明るく清潔な店で、席のほとんどが常連で占められている。

 店主の清水(しみず)は地元の人間で、息子が紫乃と同じ学校に通っていた、昔からの顔見知りだ。

 二人が入っていくと、清水は紫乃の顔を見て笑顔を浮かべ、隣にいる歩を見て、すぐに眉根を寄せた。

「紫乃ちゃん、そいつが例の野郎か?」

 開口一番そんなことを言い、カウンターから出てきた清水は、歩を睨みつける。

「例のって?」

 紫乃が怪訝な顔をしながら訊ねると、彼は歩を頭のてっぺんからつま先まで眺めて言った。

「なんか若ぇ男、囲ってるって聞いたぞ」

(こんなところにまで――!)

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